「うちのプロパンガス、高い気がする」
そう思っていても、何と比べて高いのかが分からないと、そこから先に進めません。業者に電話しても「適正価格です」と言われて終わります。
この記事では、自分の単価を計算する方法と、相場と比べる方法、そして実際に見直すときの手順を順番に書きます。読み終えたときに、次にやることが決まっている状態を目指します。
1. まず、自分の単価を計算する
比較の出発点はここです。「1立方メートルあたりいくら払っているか」を出します。検針票を用意して、次の計算をしてください。
単価 =(請求額 − 基本料金)÷ 使用量(㎥)
例えば、請求額が9,800円、基本料金が1,800円、使用量が12㎥なら、(9,800 − 1,800)÷ 12 = 1㎥あたり約667円です。
この数字が出れば、他と比較できる状態になります。「9,800円は高いですか」には誰も答えられませんが、「1㎥667円は高いですか」なら判断できます。
使用量の目安
ひと月の使用量は、世帯人数と季節でだいたい決まります。
- 一人暮らし:3〜6㎥
- 二人暮らし:6〜10㎥
- 四人家族:10〜15㎥
冬はこの1.5〜2倍程度になります。給湯に使う水温が下がるためで、使い方が変わったわけではありません。冬の請求額が上がったからといって、使いすぎを疑う必要はありません。
2. 相場と比べる
自分の単価が出たら、次は比較対象です。
一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 石油情報センターが、都道府県別のLPガス価格を毎月公表しています。一般家庭向けの平均価格が地域ごとに出ているので、自分の県の平均と比べれば、高いか安いかがはっきりします。
ここで一つ注意があります。公表されている平均価格は、あくまで平均です。プロパンガスは自由料金なので、同じ県内でも業者による幅がかなりあります。平均より少し高い程度なら誤差の範囲ですが、平均を大きく超えているなら、見直しの余地があります。
3. 請求書で確認すべき3項目
2025年4月から、LPガス事業者には料金を3つに分けて通知する義務があります。しかも、それぞれの算定根拠も一緒に示す必要があります。
① 基本料金・従量料金・設備料金の3つに分かれているか
分かれていなければ、事業者に確認してください。
② 設備料金に何が含まれているか
給湯器やコンロなどの設備費用が、ここに入っていることがあります。「無償で設置します」と言われた設備が、実はガス料金の中で分割払いになっていたというケースです。
③ 従量料金の単価
1で計算した数字と一致するか確認します。ずれていれば、他の名目が混ざっています。
4. 一括見積もりで分かること
自分の単価と相場のずれが分かったら、実際にいくらになるかを見ます。一括見積もりのサービスを使うと、複数の事業者の提示額をまとめて確認できます。個別に1社ずつ問い合わせると、地域の事業者を自分で調べる手間がかかるうえ、そもそも新規契約を受け付けているかも分かりません。
① 現在の使用量と単価を手元に用意しておく
これがないと概算しか出ません。1と3で確認した数字をそのまま伝えます。
② 見積もりは「相場を知るため」でもある
切り替えるかどうかは後で決めればいい話です。数字が出た時点で、今の事業者と交渉する材料にもなります。
③ 賃貸の場合は事前に確認
後述しますが、賃貸だと自分では変更できません。それでも見積もりを取る意味はあります。
5. 切り替えの流れ
持ち家で切り替える場合、実際にはこう進みます。
Step 1 見積もりを取る
現在の使用量と単価を伝えて、提示額を確認します。
Step 2 契約内容を確認する
価格保証の有無、値上げの条件、契約期間の縛りを見ます。「最初だけ安くて、あとから上げる」という業者を避けるために、ここが最重要です。
Step 3 現地確認
ボンベの設置場所や配管の状態を見に来ます。
Step 4 ボンベ交換
新しい事業者がボンベとメーターを交換します。工事といっても屋外の作業で、立ち会いは必要ですが短時間で終わります。
Step 5 旧事業者への連絡
新しい事業者が代行してくれる場合と、自分で連絡する場合があります。電力会社の切り替えと違い、ここは代行されないこともあるので、事前に確認してください。
6. 切り替えられないケース
① 賃貸物件
契約者は建物のオーナーなので、入居者の判断では変更できません。
ただし、入居前であれば料金を確認できます。LPガス事業者は、入居希望者への料金の事前提示に努める義務があり、入居希望者から直接情報提供を求められた場合は応じる義務があります。次に部屋を探すときは、家賃と一緒にガス料金も確認材料に入れてください。
今の部屋については、相場を調べたうえでオーナーや管理会社に相談する形になります。具体的な数字がないと話が進まないので、まず相場を把握することが先です。
② 集中プロパン(一括受入)
マンション全体で1つの供給設備を共有している場合、個別の切り替えはできません。
③ 設備の残債がある
給湯器などを事業者負担で設置している場合、契約期間内の解約で精算を求められることがあります。切り替えで安くなった分が、一時金で消えることもあります。契約書を確認するか、事業者に「解約時の精算はあるか」を直接聞いてください。
よくある質問
Q. 切り替えると、ガスが止まる期間がありますか
ボンベ交換の作業時間だけです。数十分程度で、その日のうちに使えます。
Q. 都市ガスに変えられませんか
導管が敷設されている地域でなければ物理的に不可能です。導管があっても、宅内の引き込み工事と器具の交換で相応の費用がかかります。
Q. 交渉だけで安くなりますか
なることがあります。相場より高い根拠を示せれば、事業者側も他社へ流れるより値下げを選ぶことがあります。ただし、根拠のない「安くして」は通りません。
Q. 一度切り替えたら、また高くなりませんか
自由料金なので、契約後の値上げはありえます。契約時に価格保証の有無と、値上げの条件を確認してください。ここを口頭で済ませないことが、長期的に効きます。
まとめ
- 請求額から基本料金を引き、使用量で割って単価を出す
- 石油情報センターの都道府県別平均と比べる
- 請求書で基本料金・従量料金・設備料金の内訳を確認する
- 一括見積もりで実際の提示額を見る
- 契約前に価格保証・値上げ条件・解約時の精算を確認する
1と2だけなら10分で終わります。そこで相場並みだと分かれば、それ以上は考えなくていい。高いと分かったときに初めて、次の手を考えれば足ります。
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